ホームコラム / 第9回

気がついたら、私の仕事は「決めること」になっていた
〜AIが手を動かす時代の、人の本当の仕事〜

最近、自分でもびっくりすることがあるんです。

朝起きたら仕事をして、夜寝るまでずっと仕事してる。

「いやー、私、仕事大好きだなあ」「最近すごい仕事してるなあ」って、ちょっと誇らしげな気分にもなったりして。

でも、ふと冷静になって考えてみたんですよね。

「私、実際に手を動かしてること、どれくらいあるんだろう?」

……ほぼ、ないんです

手を動かしているのは、AIだった

成果はたくさん出ているので、自分がバリバリやっている気になっていたんですが、よくよく振り返ってみると、手を動かしているのは私じゃなくて、AI でした。

では、私が何をしているかというと、こんな感じなんです。

[一日のうち、私が言っていること]
「この先もこの方向でやっていいですか?」
「これらの案のうち、どれがいいですか?」
「はなわさんはどれが好きですか?」
「チェックしてフィードバックください」

[それに対する私の返事]
「うん、いいよ」
「こっちで」
「ここをこう直して」
「もう一案ほしい」

これが、私の仕事になってたんですよね。

気がついて、ちょっと笑っちゃいました。

「あれ、私、何もしてなくない?」と。

でも、これはPMの仕事と一緒だ

でも、よく考えてみたら、これって 会社のプロジェクトマネージャー(PM)の仕事と一緒 だなあって気づいたんです。

PMって、もちろんいろんなことを考えたり、調べたりはします。

でも、メインの仕事は 手を動かすこと じゃない。

意思決定 なんですよね。

  • 「この方向で進めよう」
  • 「この案を採用しよう」
  • 「ここは見送ろう」

そして、その決断に対して 責任を取る。それがPMの本業です。

エンジニア17年とPM経験で、見えた風景

私はもともと、ITエンジニアを17年やっていました。

その中で、エンジニアとして自分の手を動かしていた時期と、PMとしてメンバーをマネジメントしていた時期、その両方を経験しました。

正直に言うと、手を動かしているほうが、仕事してる感はあるんです、やっぱり。

コードを書いて、テストを通して、リリースする。目に見える成果物が、自分の手から生まれていく感覚があります。

一方、PMの仕事は、外から見ると「ただ会議に出て、指示を出しているだけ」に見えなくもない。

でもPMの仕事の本質は、決めること

[エンジニアの仕事]
要件を聞く
   ↓
設計する
   ↓
コードを書く(手を動かす)
   ↓
テストして、リリースする
   ↓
「やった感」が、はっきりある

[PM の仕事]
複数の選択肢を整理する
   ↓
方向を決める(決断する)
   ↓
リソースを配分する
   ↓
責任を負う
   ↓
「やった感」は、外から見えにくい

決めるって、すごく疲れる

これ、やってみるとわかるんですが、決めるって、すごく疲れます

しかも、責任もある

「この方向でいこう」と決めたら、その先で起きることに対して、自分が責任を負う。違う方向に進んでいたら違う結果になっていたかもしれない、その「もしも」も含めて引き受ける。

でも、それが仕事なんです。

これからの時代、人がやることで本当に重要な部分は、
意思決定と責任 なんじゃないか。

そう感じています。

AIが整理しても、最終決定は人がする

もちろん、AIも意思決定を かなり手伝って はくれます。

「こういう選択肢があります」「メリット・デメリットはこうです」って、ちゃんと整理してくれる。これは本当にありがたい。

でも、最終的に 「これでいく」と決めるのは、やっぱり人 なんですよね。

その判断ひとつで、方向性はガラッと変わってきます。

そもそも「何かやろう」と最初に思うのも、人です。

それがなければ、AIは何も動き出しません。

AIがどれだけ優秀になっても、人の知識や考え方、価値観、「自分はどうしたいのか」という意志。ここの部分は、まだまだやることがたくさんあるなと感じています。

むしろ、問われ方が変わってきている

むしろ AIが手を動かしてくれるようになったからこそ、人の問われ方が変わってきている気がします。

[これまで]
「どれだけ手を動かせるか」
「どれだけ知識を持っているか」
「どれだけ早く作業できるか」
   ↑
ここが評価軸だった

[これから]
「自分は何を選ぶのか」
「何に責任を持つのか」
「どこに価値があると見るのか」
   ↑
ここが、より問われる時代に

これは、ある意味、かなりシビアな時代 でもあります。

手を動かすことの上手さでは差がつきにくくなり、判断と責任のところで人の輪郭が出る。逃げ場が少なくなる、とも言えるかもしれません。

「手を動かしてないと不安」を、そろそろ手放してもいい

そして、ここまで読んでくださった方の中には、こう感じる方もいると思うんです。

「AIに任せて、自分が手を動かしてないと、なんだか不安」

その感覚、すごくよくわかります。

私も最初はそうでした。

でも、その不安を、そろそろ手放してもいい のかもしれませんね。

手を動かしている時間の長さで、自分の価値を測らなくていい。

むしろ、空いた時間で「何を選ぶか」「何に責任を持つか」を ちゃんと考える ことの方が、これからは大事になっていくんじゃないかなと思っています。

おわりに

気がついたら、私の仕事は「決めること」になっていました。

それは、AIに手を動かしてもらえるようになったから、ようやく見えてきた風景です。

同じシリーズで、5年寝かせた構想が1週間で形になった話研修資料を一行も自分で書かない話AIに任せるところと人がやるところの役割分担も書いています。

「うちの組織でも、意思決定の質を高めたい」「マネジメント層のAI活用を相談したい」というご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。